ベースの種類 ~プレシジョンベース(プレべ)編~

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プロ・ベース虎の巻

プレシジョンベースとは

プレシジョンベースとは、『プレべ』と呼ばれ、世界的に愛されているベースの一つです。
フェンダー社により開発されたエレキベースで、フレットが付いていることにより、正確な音程が出せるベースという意味で「プレシジョン(正確な)ベース」と名付けられたそうです。

エレキベース登場より以前はコントラバス(ウッドベース)が主流で、フレットが無く、正確な音程で演奏することが難しかった為、それと比較して名付けられたとされています。

一般的にはフェンダー社のプレべでなくとも、同じような仕様のベースならば「プレシジョンベース(プレべ)」「プレべタイプ」「Pタイプ」等と呼ばれています。

プレべといえばロックな印象を持つ人が多いかと思いますが、ファンクやソウルにこそプレべの真髄が見えるのではと、往年のプレべ使い達を観ていると感じます。

よく、プレべはネックの太さから初心者向きではないと評されることがあります。
しかし、通常の4弦プレべならば5弦ベースほど太くもありませんし、他の4弦ベースとの微小なネックの太さの差で弾きにくいと感じる人は、そもそもベースを弾くフォームに問題があることの方が多いです。
ですので、初心者でも安心して魅力いっぱいのプレべ特有のブリブリなサウンドを楽しんでもらいたいと筆者は思っています。

 

ピックアップについて

プレべのピックアップは『スプリットコイル・ピックアップ』と呼ばれ、2つのピックアップがZ字に配置されている形状です。
スプリットコイル・ピックアップは2つのピックアップが《1弦2弦》《3弦4弦》をそれぞれ担当し、役割が重複していない為に2つで「1個」とカウントします。

一般的に《1弦2弦》を担当する部分がブリッジ寄り、《3弦4弦》を担当する部分がネック寄りに配置されています。
その為に若干ですが、太い弦は図太く、細い弦はタイトになるよう設計されています。
稀に、逆の効果を狙って楽器製作の段階でピックアップの配置をあべこべに設計する場合もあります。

近年のプレべの概念として、フロント(ネック寄り)にスプリットコイル・ピックアップ、リア(ブリッジ寄り)にシングルコイル・ピックアップが一つずつ搭載されることがあります。
これは本来『PJタイプ』と呼ばれ、これまでプレべとは区別されていました。
しかし、最近の本家フェンダーのアメリカンデラックス・モデルに『プレシジョンベース』として堂々とリアのシングルコイル・ピックアップを搭載していることから、プレべの新しい概念として普及されつつあります。

シングルコイル・ピックアップを搭載することにより、音色作りの幅はかなり広がります。(一般的にはまだまだ『プレべ(Pタイプ)』と『PJタイプ』は区別されています。)

 

音の傾向

楽器により個体差があり、人により感じ方も違うので一概に「こういう音である」と説明するのは難しいですが、誤解を恐れずにいうならば、プレべはミドル(中域)が気持ちよく出ている印象があります。

ミドルが出ているといっても迫力がないわけではなく、アンサンブルの中でも埋もれない存在感のある音だといえます。「ブリブリ」という擬音で表現されることも多いです。

伝統的な仕様のプレべは各弦の振動を一つのマグネットピックアップで拾っている為、楽器本体で作ることの出来る音色の幅はとても狭い(パッシブだとトーンを絞るぐらい)です。
なので、プレべの音は「無骨」であるとか「男らしい」と表現されることがあります。
ただ、確実に唯一無二のプレべサウンドである為、楽曲の雰囲気にハマると正に最強だと言えます。
ポップス、ロック、ファンク、バラード、どんなジャンルにもおすすめです。

 

見た目の特徴

プレべの一番の特徴はボディの真ん中に付いている『スプリットコイル・ピックアップ』です。
このスプリットコイル・ピックアップが搭載されているベースが全て「プレべ」であるとは限りません。
しかし、スプリットコイル・ピックアップが搭載されていればプレべ系の音を出すことが可能といえます。
(リアにシングルコイル・ピックアップが搭載されているPJタイプや、スプリットコイル・ピックアップが2つ搭載されているモノもプレべ系と定義されることがあります。)

もうひとつ分かりやすい特徴として、ピックガードの形があげられます。
プレべのピックガードは数あるベースの種類の中で最も形が大きいといえます。
ネック周辺から、ブリッジ近くのジャック部分までグイ~ンとベースのボディの形に沿って伸びています。

また、微妙で見落としがちな特徴が、ボディのブリッジ側のお尻の部分にあります。
プレべはこの部分を正面から平面的に見るとボテッと左右対称になっています。とてもキュートです(笑)

 

代表的なプレイヤー

プレべを使う代表的なベーシストを何人か紹介します。

【ジェイムス・ジェマーソン】
1970年代の有名レーベル『モータウン』の筆頭ベーシスト。
プレべの代名詞と言っていいほどの人物。最強グルーヴ。

【ドナルド・ダック・ダン】
ジェイムス・ジェマーソンと同じくファンク、ソウルミュージックの伝説的ベーシスト。
名前の「ダック」は本名の「ドナルド」から連想されたニックネームという逸話。

【ジョージ・ポーターJr.】
ニューオリンズにおいてファンク、R&Bを牽引したバンド『ミーターズ』のベーシスト。
ファンクミュージックの創世に関わる欠かせない人物。

【ピノ・パラディーノ】
現代における最強のセッションベーシストの一人。シグネイチャーモデルの赤いプレべも特徴的。
様々な有名アーティストのサポート・メンバーとして活躍中。

【スティーブ・ハリス】
ヘヴィメタルバンド『アイアン・メイデン』のベーシスト。
かつては超絶技巧派ベーシストとして名高い『ビリー・シーン』と人気を二分するほどの存在。

【シド・ヴィシャス】
ある意味では一番有名で「プレべといえば彼」という人も多いはず。
パンクの象徴的イメージと、カリスマ性で後世のパンクロッカー達に絶大な影響を与えた。
パンクバンドでプレべが使われるのは彼の功績といっても過言ではない。

【ハマ・オカモト】
バンド『OKAMOTO’S』のベーシスト。現在、日本でプレべの使い手として最も注目されているのが彼である。
日本人ベーシストとして初のフェンダー社とのエンドースメント契約など、若くして伝説的な存在。

以上、ざっと挙げてみましたがプレべを好んで使うベーシストは個性的な人が多いような気がします。
そんなプレべを筆者自身も愛してやまないです。

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