ベーシストとチューニング

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チューニングについて

『プロ・ベース虎の巻』ということで、 今回からベーシストに必要な知識などを紹介していこうと思います。
まずはじめに、全ての弦楽器に共通する『チューニング』について、 ベーシスト目線から解説します。

基本的に、チューナーは440Hz(ヘルツと読みます)で設定されています。
これはA(ラ)の音を440Hzという事にしましょうね?と世界中で取り決められているからです。
ところが、音楽の現場によっては楽曲の雰囲気に合わせて441Hzや439Hzにしたりと ピッチを変更する場合もあるのです。
特にレコーディング現場ではよくあることなので、 ピッチの設定を変更出来るチューナーを選ぶことが重要になってきます。
こういった要望や色々な事に対応出来るようになることが、プロへの第一歩となるのです。

チューニングにおいてベーシストとして気をつける点は、 アンサンブル全体の基盤(ベース)を担っているという意識を持つこと。
それにより、自分の出している音のピッチをシビアに感じることに繋がり、 チューニングに対してもよりストイックに向き合うことが出来るはずです。 ベースって大事なパートですからね!

チューニングの基本

誰もが演奏する前に必ず行うチューニングですが、 ちょっとした事を見直すだけで精度とスピードが格段に上がります。

ピッキングの強さを気をつける。 チューニング時には実際に演奏する時と同じ強さでピッキングすること。
強過ぎるとピッチが高く検出され、実際の演奏時にフラットしてしまう事もあります。

ミュートをしっかりする。 弦を鳴らした際に、他の弦をしっかりミュートする。
共鳴したり雑音が混じるとチューナーの反応が悪くなります。

ペグの方向を把握する。 楽器によって違いがありますが、 ペグをどちらに回すとピッチが高くなるのか低くなるのか、 しっかり把握しておくと時間短縮に繋がります。
速さが求められるステージでのチューニングの際、 間違えた方向に回すと少し焦ります(笑)

《低い→高い》を徹底する。
チューニングは基本的に弦が緩い状態(低い)から、締める(高くする)ということを心がけましょう。
回し過ぎてピッチが高くなってしまったら、 狙いの音程より低くして、改めて高い方へと合わせるようにします。
それにより比較的チューニングが狂い難くなります。

何度も繰り返す。
一度全ての弦をチューニングし終えたら、また始めの弦からピッチを確認しましょう。
特に交換したばかりの弦は気をつけましょう。
ピッチが安定するまで繰り返します。

ハーモニクスでチューニングする。
実音よりもハーモニクスの方が倍音が少なく、チューナーが反応しやすい傾向にあります。
12フレットのハーモニクスだと開放弦と同じ感覚でチューニング出来ます。
特に多弦ベースを使ってる人で「ローB弦だけチューナーの反応が悪い」なんて人には 12フレットのハーモニクスはオススメです。
楽器を響かすイメージで鳴らすのがポイントです。

以上、 既に知っている事が多かったと思いますが、 これを機に改めてチューニングの基本を見直してみるのもいいかもしれませんね。

ステージでのチューニング

皆さんはステージでチューニングする際にはどのようにしてますか?
まだ一度もステージに立った経験のない人は、もしかしたら考えたことのない事柄かもしれませんね。
「え、普段通りじゃいけないの?」な?んていう声も聞こえてきそうですが、 家での練習やリハーサル時にスタジオでするチューニングと、ライブ本番のステージ上でするチューニングとでは大きく違う部分があるのです。
それは、お客さんの前でエンターテイメントの一部として最低限の気遣いをしなければならないという事です。

そのことについて具体的に説明しましょう。
ステージでのチューニングの際、曲と曲の間で音を出してしまうと、雰囲気を壊してしまったり、MC(喋り)を邪魔してしまう事があります。
勿論、アーティストによってはそれを敢えてやる人もいます。
しかし、チューニングの際に音が出てしまうことはデメリットになる場合が多いのです。
特にベースは音が太いので、チューニング時に音を垂れ流し、雰囲気を壊すという点においては破壊力が抜群です。
つまり、スピーカーから音を出さずにチューニングする方法を確立しなければならないという事です。
しかも、曲間のわずかな時間で素早くチューニングをしなければならい。
これは、ステージに立つ全てのベーシスト、ギタリストにとって最初にして重要な関門と言っていいでしょう。

どんな機材(チューナーなど)を選び、どういうシステムを組み、チューニングするのか。
これを考える事こそがステージにおいて『エンターテイメント』と『演奏クオリティ』というものに対するミュージシャンの一つの姿勢だと思います。

チューナー選び

どのチューナーを使うか、どんな付加価値のあるものを選ぶのか、状況によってベストな選択をすることで、より快適な演奏空間を作ることが出来ます。

まず、主にどんなタイプのチューナーがあるか紹介しましょう。

スタンダードな横長タイプ 針のメーターの物やデジタルなど様々なものがあるスタンダードタイプ。 ストンプやクリップに押され、最近は徐々に人気が落ちている傾向にあります。
しかし、エフェクトボードのシステムによっては最適なタイプになり得ます。

ストンプタイプ 今やライブ用チューナーの定番。
エフェクターと同じ形なので、ボードにも収まりやすい。
足の操作でミュートなどが出来る万能タイプ。
バイパスにはエフェクターと同じく、バッファードとトゥルーバイパスがあります。

ラックタイプ ラックケースにマウントが可能な、比較的大型のチューナー。
メーターも大きいので、より細かいチューニングが可能。

クリップタイプ 近年急速に普及したヘッド等に挟んで使うクリップタイプ。
ケーブルを挿さずに使用でき、小さくて持ち運びにも便利。
音質ロスは皆無。

スマホアプリ 時代の流れにより、スマートホンのアプリでもチューニングが出来ます。
スマホ内蔵マイクで検知する為、騒がしい場所では難しいですが、家で使う分には充分だと思います。
スタジオ練習の時にチューナーを忘れてもこれで安心。
無料のモノもあるのでオススメです。

メーカーや機種によってメーターの大きさや反応速度など色々と差があるので調べてみると良いと思います。
メーターはアナログ針や、デジタル、ストロボなどが主流です。
僕自身はストンプタイプとクリップタイプを使い分けています。
アプリはたまに家で出番がありますね。
スタジオでもたまに使いますし、あると便利ですよ。 ストンプタイプは機種によってバイパス音も違うので、こだわるととても奥が深いです。

ベーシストはギタリストほどエフェクター等での音色変化を求められないので、シールドケーブルとチューナーさえ持っていれば仕事できちゃいますからね。
考え方によってはベーシストにとってチューナーは音の要にもなり得ます。

ミュート機能とチューニング

ミュート機能に焦点を絞ってチューニングを考えてみましょう。
先述した通り、ライブでのチューニングではエンターテイメント性の維持の為にミュート(チューニングの際にスピーカーから音をださないこと)を推奨しました。
今回はミュートの方法について詳しく解説します。

チューナーのミュート機能 一番シンプルでポピュラーな方法です。
機種によりますが、チューニングする時にはミュートになり、音を出す時にはチューナーがOFFになるモノが多いです。

ABボックス 一つの入力信号をスイッチ切り替えで出力を分岐させます。
アウトの片方にはアンプ、もう片方にはチューナーを接続することにより、チューニング時のミュートが可能です。
ABボックスとは違いますが、2アウトを同時に出力するスプリッターというモノもあります。

チューナーアウト付きラインセレクター ラインセレクターとは、ABボックス、エフェクトループセレクター等の総称です。
単純なモノから多機能なモノまで様々ですが、チューナー専用のアウトプットがあるタイプもあります。
機種にもよりますがチューナーアウトが常時出力になっているモノもあるので大変便利です。

ボリュームペダル 一昔前までプロミュージシャンの必須アイテムとまで言われていた(と思う)のが、ボリュームをコントロールするボリュームペダルです。
チューナーアウト付きのモノが殆どで常時出力です。
このボリュームペダルがプロの必須アイテムだった理由が、他ならぬ「チューニング時にミュートをする為」でした。

近年では上記のような選択肢が増えてきた為、純粋に演奏時のボリュームコントロールのためだけに使う人が多いです。
スイッチが無いのでミュート時の切り替えによるポップノイズが皆無なのが利点です。

紹介したこれらは、どんなシステムを構築しているか、どの部分に重きを置いているか等、状況や目的によって選択されます。
例えば、エフェクターを沢山使う人ならば多チャンネルのラインセレクター、足でボリューム奏法をする人ならばボリュームペダル、演奏中もチューナーでピッチを確認したい人は常時アウト可能なタイプ、とにかくシンプルにセッティングしたい人はストンプタイプのチューナー。自分に合ったシステムを考えてみるのも楽しいと思います。

ちなみに、番外編として楽器の手元のボリュームを0にして、クリップチューナーを使うというのも有効です。
ベーシストならば『アンプ直』を実現できます。
ベーシストは特にシンプルなセッティングになる場合が多いので、チューナーと、チューニング環境について突き詰めていくのもけっこう面白いものですよ。

 

著者 えんどう光豆

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